りかさんのぼっちブログ

日常のアレコレを投稿しています。

⑩ひきこもりの就活◆息子が働ける場所をさがして……

前回までのこと

今回は、障害者就業・生活支援センターと若者就業サポートステーションについてお伝えします。

障害者就業・生活支援センターの利用対象者や支援内容については「⑨引きこもりの就労・息子が働ける場所はありますか?」で詳しく書いています。

6月末の事、ひきこもりの息子が働いてみたいと言いました。

びっくりしました。心が震えました。

ひきこもり生活が長引いてしまって、普通の人のように生活することが出来なかった息子は、歳を重ねるごとに何もできない自分に自信を無くして…うつ病も発症していました。

何年も……私たちとも会話らしい会話もすることもなく、自室に引きこもっていました。

その息子が…「働いてみたい」と言ったのです。

普通の人なら、その気になればアルバイト先の1つや2つはすぐに探せることと思いますが……8年も引きこもっていた息子が働ける場所はあるのか?

どんなアルバイトなら出来るのか?

いや~⁈ 超短時間のアルバイトだとしても、息子も私も…普通に応募してみようとは思えませんでした。

何なら出来るのか?どんな職種なら出来るのか?

それ以前に、人とかかわることが出来るのか?

8年も引きこもっていた息子を雇ってくれる所はあるのか?

前に進めない問題がたくさんあり過ぎて自分達だけでは決めることが出来なかったので、以前から知っていた市が開設している「ひきこもり相談窓口」に面談の予約をして息子の就労先についてお話を聞きに行きました。

詳しくは「息子について③」をお読みください。

今、息子は就労継続支援B型事業所で働いていますが、ここは一般的な就労ではなくて、福祉的就労になりますのでさまざまな手続きを行わないと利用することが出来ません。

この就労継続支援B型以外に就労継続支援A型という就労の場もあります。

この2つの就労場所の違いや一般就労を目指す場合の注意点を聞いてきたのでシェアしますね。

障害者就業・生活支援センターで聞いたこと

障害者就業・生活支援センターは、障害や難病のある方が働くことを希望していたり、既に働いている本人、家族とその関係者が相談できる所で、相談者が身近な地域で安心して働き暮していけるよう関係機関(雇用、福祉、教育など)と協力して就職に関する相談や日常生活に必要なサポートを支援してくれる所です。

厚生労働省から委託された相談窓口が全国に337箇所(令和5年4月時点)設置されています。

こちらのセンターに引きこもり歴8年の息子の就労について相談してきました。

前回の記事(息子について⑨をお読みください)に書ききれなかったことを追記していきます。

さまざまな働き方として、福祉的就労一般就労の2つの働き方と一般就労を目指す為に必要な知識やスキル向上のためのサポートを行っている就労移行支援という制度があることを教えてもらいました。

その事についてもう少し詳しく書きたいと思います。

福祉的就労とは、一般就労が難しい方が福祉サービスを受けながら働くことです。

就労継続支援A型と就労継続支援B型の2つの働く場がありますが、どちらも利用するには相談支援事業所にて利用計画案を作成してもらって、市役所(障がい福祉課)に提出していただく必要があります。

その後、認定されると「障害福祉サービス受給者証」が交付されます。

その交付年月日から就労継続支援事業所を利用することが出来ます。

就労継続支援A型と就労継続支援B型では働き方やもらえる給料に違いがあります。

以下に詳しく記載します。

  • 就労継続支援A型
    一般企業等での就労が困難な人に、働く場を提供するとともに、知識や能力の向上のために必要な訓練を行います。
    雇用契約を結び、給料(最低賃金に近い時給額)をもらいながら利用することが出来ます。
    利用するには、相談支援事業所にて利用計画案を作成してもらい、障がい福祉課に提出⇒障害福祉サービス受給者証を交付してもらう。
    ※利用するには、障害福祉サービス受給者証が必須。
    上記に加えて、ハローワークにて求人募集している就労継続支援A型事業所の求人募集に応募する必要があります。(面接あり)(選考で不採用になる場合もあります)
    勤務時間は週5日・1日4時間以上(週20時間以上)働くことが条件です。
    福祉的就労になりますので、ある程度は配慮してもらえることもあるそうですが、それがどの程度(週20時間にならなかった場合や欠勤した場合、作業内容など…)してもらえるかは(どのくらい厳しいのか?)利用していないので詳細は不明です。
  • 就労継続支援B型
    一般企業等での就労が困難な人に、働く場を提供するとともに、知識や能力の向上のために必要な訓練を行います。
    雇用契約を結ばない働き方になります。
    B型事業所に通所して、内職のような授産的な活動(仕事)を行います。
    ※事業所によって作業内容は異なり、事業所外での作業を主に行っている所もあります。(※宿泊施設の清掃作業、農作物の栽培や収穫、パンや製菓の製造販売、飲食店での接客や厨房のお手伝い等々…)
    お給料は、工賃として支払われます。
    息子の場合は、時給は200円と決まっていて、ひと月(1日 3時間半で25日間)働いたとしても、いただける工賃は17,500円となります。
    A型事業所のように最低賃金並みの時給がいただけるとしたら、少なく見積もっても4倍の70,000円ぐらいになろうかと思います。
    その差はとても大きなものとなっています。
    ですが、就労継続支援B型事業所では、雇用契約を結ばないゆえに、利用する側(息子)の希望に合わせて働く時間や日数を決めることができるし、その日の体調に合わせて無理なく働くことができる場となっています。
    ※息子とB型事業所との利用契約書を読みますと、就労継続支援B型サービス提供の目的は「就労や生産活動の機会を提供するとともに、就労に必要な知識、技能が高まった者は一般就労に向けて支援します」との記載がありました。B型事業所からA型事業所にステップアップする場合の支援もしていただけるようです。

次は一般就労についてもお聞きしました。

一般就労はいわゆる、一般の方と同様に企業や公的機関などに就職して労働契約を結んで働くことです。

ですが、息子のように、うつ病を発症しているなどの何らかの障害を持っている方が一般就労を目指す場合は、障害がある事を伝えて(オープンにして)働くのか?

障害がある事を伝えず(クローズして)働くのかの2つの選択肢があります。

一般就労・2つの働き方
  • 障害があることを伝えない場合=(クローズ)は「一般採用枠」で就労する。
    すなわち、クローズして働く場合は、一般採用枠で就活することになりますので、息子がもっている障害に対して配慮してもらえなくなり、採用条件等も他者と同じになります。
    (つまり、障害の無い人と同じ条件で働くことになります。)
    ※仕事の探し方は、ハローワークの一般窓口で求職登録したり、WEBサイトや求人広告、求人募集の冊子等々
  • 障害があることを伝える場合=(オープン)は障害者雇用枠」で就労する。
    障害者雇用枠は障害者手帳を持っている方が応募できる雇用枠です。
    ※ですので、障害者手帳が必須である。
    息子がもっている障害に対して、どのような配慮が必要かを伝えることが出来るので、合理的な配慮をしてもらえる。
    ※仕事の探し方は、ハローワークの障がい窓口で求職登録して探す障害者手帳や医師の意見書が必要)

この障害があることを伝えるか、伝えないかの選択には、それぞれにメリット、デメリットがあることも教えてもらいました。

息子は障害者手帳を持っていません。

この先も……持てるかどうかわかりません。

息子の持つ障害が、障害者手帳を交付してもらえるような病名が今のところはついていないからです。

なので、息子も私も…障害者手帳があればいいな~

あれば、B型事業所やA型事業所以外に「障害者雇用枠」で働き先を見つけられるのでは?

障害者雇用枠なら今よりも職種を選べたり、給料も増えたりする可能性もあるのでは?

障害者手帳があって障害をオープンにすれば…就職先が探しやすくなり、それなりの配慮をしてもらえるならそれに越したことないと、思っています。

こんなことを書くと、障害が重い方など、障害者手帳を持っていて働きたいとは思っているのに……働くことが出来ない方々もたくさんいらっしゃるはずですから、安易な発言だと感じて申し訳ないのですが…ごめんなさいね。

それとは別に障害者手帳が交付されないのであれば、障害が重くはないという事なのだから(息子の場合だと、うつ病がひどくなれば死を選んでしまう可能性もあるのだから…)それはそれで、いいことなのだと思ったりします。

本人も「障害者」と判断されるより、されない方がいいのだろうか?と思ったり、なかなか難しいことですね。

さて、オープン(伝える)・クローズ(伝えない)のメリットとデメリットについて教えてもらったことはこんな事です。

障害を伝えない(クローズ)

メリット
・伝えない場合は一般求人に応募するため、求人数が多く就職したいと思う会社が見つけやすい
・色々な仕事に挑戦できる
・給料などの労働条件等で一般の求人者と同等の扱いになる
・職場の中で特別扱いされない
デメリット
・職場の人に障害のことがばれるのではないかと不安になる
・障害(病気)を隠すことがストレスになる
・周りに内緒で通院や薬の服用をすることになり、それがストレスにつながる
・仕事で疲れた時などに適度に休憩させてもらうことが出来ない
・会社から残業や休日出勤を指示されることがある
・職場内で問題や人間関係のトラブルが起こった時に支援者に間に入ってもらうことが出来ない
・自分には難しい、不得意な仕事でも場合によって引き受けなければならない

障害を伝える(オープン)

メリット
ハローワークで障害者求人に応募出来る
・職場に病気の事を知られるのでは?という心配をしなくて済む
・通院の為の休みが取りやすい
・苦手な仕事、出来ない仕事がある事を理解してもらえる
・様々な支援制度を利用できる
・面接時には支援者に同行を依頼できるので助けてもらえる
・職場で業務上の問題や人間関係のトラブルが発生した場合に支援者が会社と解決に向けて話し合いをしてくれる場合もあるため、働きやすい環境で仕事が出来る。

デメリット
・障害者求人は求人数が少なく、希望する職業を探すのが困難
・職場で「障害者」として見られたり、扱われることがある
・仕事内容が軽いものしか任せられないなど、制限される場合がある
・業務内容が配慮してもらえる反面、給料等に影響を与える場合がある

上記のように、障害を伝えるか、伝えないかで、さまざまないい面と悪い面があるということを知りました。

また、働く前に考えておく、決めておいたほうが良い事についても教えてもらいました。

  • 働きたい?
    いつから働くか?
    どんな仕事がしたいのか?等々
  • 働ける?
    どんな仕事が出来るのか?
    どんな仕事が向いている?
    働き続ける力はついているか?等々
  • 働き方は?
    フルタイム?
    パートタイム?
    週何日働けるか?
  • 仕事の探し方は?
    まずは、障害を伝える?伝えない?を決める!
    それによって、どこから求人情報を得るか決める
  • 支援を受けるか?を決める
    自分でやってみる?
    就労支援機関を利用するか?
    市役所(障がい福祉課)に相談するか?等々
  • 障害を伝えて働く場合…
    どんな配慮をして欲しいか?考えておく。
    自分が苦手とする場面や状況は?
    自分が調子を崩すときの前兆はあるか?
    症状を崩す誘因になることはあるか?
    (自分を見つめ直す)

上記の障害を伝えて働く場合に「どんな配慮が必要か?」を考えて、伝えられるように準備しておくことが大事だそうで、それが伝えられないと就職先の会社もどんな配慮をすればいいのか(対応出来るのか?)が分からずうまく支援できなかったり、自分にも不利になる(働きやすい場所にすることが出来ないから)そうです。

このような色々な情報を知ることが出来て良かったのですが、こちらの障害者就業・生活支援センターは、あくまでも「一般就労」に向けたサポートを行う機関なのです。

息子は今、就労継続支援B型事業所に通所していますが、もっとお金が稼げるA型事業所で働きたいと思っています。

その場合は、今通っている就労継続支援B型事業所で次のステップアップ先のA型事業所のことを相談してくださいという事でした。

障害者就業・生活支援センターでは、就労継続支援A型事業所への就労に向けた支援は行っていないそうです。

もう少し詳しく言うと、就労継続支援A型から一般就労に行きたいという事が明確に決まっているのなら相談できなくもないのですが、B型事業所でも対応できるのでその方がいいとの事でした。

この面談を受けた時は、まだ就労継続支援B型事業所に通い始めたばかりでしたので、B型事業所がどこまで次の支援をしてくれるのかが分からなかったのと、息子がA型事業所にすぐにでも挑戦したいと思っていたので、焦って次の相談先を探してしまいましたが、もう少しこのままゆるゆると流れにまかせて過ごしていく方がいいのかも~?と思っています。

まあ、私が思っていても(B型事業所の担当者さんもステップアップは、ここにもっと慣れてからと言ってます)本人が決めることですが……

若者就業サポートステーションについて

ACイラスト:ムック様

若者就業サポートステーション=通称サポステは、働くことに踏み出したい若者たちとじっくりと向き合い、本人や家族の方々だけでは解決が難しい「働き出す力」を引き出し「職場定着するまで」を全面的にバックアップする厚生労働省委託の機関です。

対象者は、15歳~39歳の現在無職(週20時間未満の就労者含む)の若者及びその家族、関係者です。

利用無料、予約制となっています。

(継続的に利用する場合は登録が必要です)

今回は、私が住んでいる三重県のサポステで個別相談を受けてきました。

参加したのは、私だけです。

ここで仕事を探すのは息子にとっては早すぎると思ったので、どのような支援を受けれるのかの情報収集が目的で私一人で面談してもらいました。

若者就業サポートステーションは障害の有無は関係なく、一般就労を目指している若者(15歳~39歳)が利用できます。

働きたいけど…就活の仕方が分からない、一歩踏み出したいけど…何から始めたらいいかわからない、ブランクがあって不安、コミュニケーションが苦手、自分に自信がない、自分が働けそうな会社が分からない等々、就活への不安や悩み、抱えている問題を一緒になって考えてくれるそうです。

「サポステ・みえ」の取り組み
働き出す力を引き出す
職場に定着するまでの支援
働きづらさの根底を解消
・一人ひとりの希望やニーズに応える
引用元:サポステみえ:パンプレットより

さまざまな支援プログラムが用意されていて、自分が必要だと思うものや受けてみたいと思うプログラムを選んで参加できます。

セミナーでは、以下のようなプログラムがあります。(一部抜粋)

  • 若者の集い=グループワークやフリートークを行う
  • メンタルヘルスアサーション=ストレス対処法を学ぶ
  • PC講座=基本的なPC操作が学べる
  • ボールペン字講座=履歴書を丁寧な字で書くため
  • マナー講座=基礎のビジネスマナーを学ぶ
  • アルバイト活動準備講座
    求人の探し方、履歴書の書き方、面接練習

また、社会参加の第一歩として、ボランティア体験を通じて、作業や人との関わり方を練習することを行っているそうです。(様々なボランティアがあり、初めての方でも気軽に参加できるそうです)

就労体験と職場体験というプログラムがありまして、就労体験は、一度も働いたことがない方や働いたことはあるけど、長期間ブランクがある方が働く事を体験できるものと、職場体験は、今まで経験したことがない業種にチャレンジしたい方向けのプログラムとなっています。

説明を聞いたサポステ・みえでは、このような就労体験ができるそうです。

それは、実際に求人募集が出ている会社があって応募してみたいのだけれども、自信がないので一度体験してみたいと思った時に、全部の企業ではありませんが、協賛している企業や交渉しだいで、サポステ・みえが間に入ってくれて、職場体験をすることが出来て、うまくいけばそのまま雇用につながることもあるそうです。

それから、サポステ・みえでは、気が向いた時にいつでも立ち寄れる「交流スペース」が設けられていて、同世代の仲間との会話の中で「僕はあの会社の面接を受けたよ」とか「こんなアルバイト情報があるよ」とか就活の話やそれ以外の雑談でも、色々とおしゃべりしていくうちに、他の人の行動が刺激になって「僕もアルバイトの面接受けてみようかな?」と前向きに進めることが出来る人もいるそうです。

個別相談の他に、家族向けのセミナーや交流会なども開催されています。
(子どもの気持ちがわかるコミュニケーション講座、親の集い等々)

お住まいの地域の若者就業サポートステーションのHPでご確認ください。

すぐに働くことが不安な方…に、いろいろな相談窓口があることを知っていただきたいなぁ~と2回に分けて、私が相談した場所で聞いたことやいただいた資料を参考にして書きました。

この他に、障害のある方に対して専門的なリハビリテーションを提供している「三重障害者職業センター」や、障害のある方に対して就労支援をしている「就労移行支援事業所」などがありますが、これから説明会に参加したり利用することがありましたら、記事してお伝えしたいなぁ~と思っています。

息子が働いてみたいとつぶやいた6月末から、就労継続支援B型事業所に通い始めた8月中旬までの約2ヶ月間……ノンストップで走り続けました。

なんか……やりきった感が半端なくて……なんもやる気がおきなくてうだうだしてました(更年期症状のせいもあるかも?)

始まったばかりなのに……ね。(私だけうだうだしてます)

息子は、月曜から金曜まで……B型事業所に通って働いています。

月末には、人生で初めての給料がいただけることでしょう。

頑張ったもんね。

一歩踏み出してくれてありがとう。

それでは最後までお読みいただきありがとうございました。